組合員へのアンケートや公聴会で、住民の総意を得られそうな内容まで辿りついたら、それを反映した「8、最終案への修正」を行います。
なお、この時、気を付けるのは、特定の組合員に「特別の影響」があるような規約変更です。
特定の組合員に「特別の影響」を伴う規約の改正については、その組合員の同意を得ることが必要です。というのは、区分所有法に第31条に次の規定があるからです。
「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。」
ただし、「特別の影響」の有無は,規約改正の必要性・合理性と,それによって特定の区分所有者が受ける不利益とを比較して,特定の区分所有者が受ける不利益が受忍すべき限度を超えると認められるか否かによって判断されますので、例えば、敷地内の植栽をつぶして、駐車場にするという場合、特定の組合員が、「自分は植栽が気に入って、マンションを購入したのだから、反対する」という主張があっても、その組合員の承諾を得ることが必要条件とは言えないでしょう。
具体的にはどのようなものが該当するかは、法律で定めらえている訳ではありませんから、迷う場合は、専門家に尋ねる等して、確認されると良いと思います。
いずれにしても、その後のマンション内の良好なコミュニティの維持のためには、前回一致が望ましいので、十分な話し合いが必要だと言うことです。 一方、仮に、特定の組合員が理不尽な反対を主張される場合は、組合全体の利益のために、最終的には、多数決で断行すると言う勇気も必要です。
そうして、最終案が完成したら、いよいよ「9、総会決議(4分の3以上)」です。 規約の改正は4分の3以上の賛成が必要な「特別決議」が必要ですが、この成立要件は、総会参加者(委任状を含む)の4分の3以上の賛成ではありません。
総会には、議決権総数の4分の3以上の参加が必要で、かつ、議決権の4分の3以上の賛成が必要ですから、40世帯(40組合議決権)のマンションであれば、仮に参加(委任状含む)が30名(議決権)であれば、その全員の賛成が必要だと言うことです。
従って、理事会としては、管理会社の協力も得ながら、積極的に参加者を集めなければなりません。
さて、これまで述べてきたステップを順々に進めていくには、毎月1回の検討会議を重ねて、恐らく半年程度の期間が必要だと思います。
理事会メンバーの数が少ない時や、問題が多い、あるいは大きな課題がある場合は、理事だけでなく、検討委員を募るなどして、進めることも必要です。
当社の場合は、マンションの規模や状況に拘わらす、管理規約検討委員を募集して、理事会に参加してもらい「管理規約検討理事会」として、活動することをお進めしています。
大きなマンションで、理事会活動の頻度が多く、理事への負担が大きい場合は、理事会とは別に「管理規約検討委員会」を結成しても良いと思います。
最後に、「10.新管理規約の監修」です。
改正が終わったら、管理会社に依頼して、新しい管理規約の原本を作成してもらい、総会議事録の写しと共に製本し、理事会役員の押印を行います。
総会議案書や議事録に書かれているから、それで終わりということではNGで、新管理規約を組合員全員に配布することも必要です。
更には、それ以降、住居の売買があった時等に備えて、余分に製本しておくことが望ましいでしょう。
当社のコンサルティングあるいは顧問業務では、ここまで指導して、初めて、完成だと考えています。 「マンション管理規約の改正の10ステップ」は以上です。(終わり)
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