2014年11月28日のトピックスで、「あるマンションで、現行の総合管理会社の管理を継続しつつ、3項目の設備管理業務の直接契約を行う予定」と書いたら、「その3項目とは、何ですか?」と言う質問と合わせて、「熱心な理事がいる間はいいのですが、そうでなくなったときに、いろいろ齟齬も生じます。」と言う体験談(なのかな?)と言うコメントをいただきました。
その回答も含めて、考察したいと思います。
まず、今回申し上げた3項目とは、エレベータ―保守・機械式駐車場保守・消防点検です。
これは、管理会社自ら「直接契約してもらっても問題ない」と申し出があったのですが、主な理由は、
「エレベーター保守と消防点検は、管理会社が介在しなくても、法令点検で縛られているので、業務品質が保たれる。機械式駐車場も点検項目が業界でほぼ統一されていて、今、管理会社の下請けが、メーカーではないので、他の独立系に替えても、問題ない」
と言う趣旨でした。
また、このマンションでは、元々、「植栽」と「雑排水管清掃」は、定額委託契約に入っておらず、そういう意味では、「直接契約」ですが、実際は、管理組合が探すわけでもなく、管理会社が複数の見積を取って提示(入札)するわけでもなく、管理会社が指定する下請け会社が行っています。
この点に関しては、また別の問題がありますが、今回は触れません。
さて、本題。
まずもって、ご指摘の通り、金額の引き下げだけを目的に直接契約にするのは、危険です。
組合役員に負荷がかかるけれども、それがわかるのは、後になってからですから、その導入を推進したコンサルタントが、報酬をもらって、「金と共に去りぬ」なんてことになっっていたら、もう「後の祭り」ですね。
従って、当社が直接契約を導入する場合は、次のステップを踏みます。
1、「法定点検をやれば良い」のではなく、大前提として、保守サービスや報告書様式までを含めて、業務仕様を詳細に明文化して、品質を保ちます。
2、その契約について、管理会社が取次や報告の介在を行うことを「基幹事務以外の管理事務業務」に具体的に記載します。(その分のコストをどう織り込むかは、管理会社の裁量です)
3、業務フローを見える化して、管理会社の担当者が変わっても、スムーズに執行してもらいます。
4、以上を整えた上で、競争入札を行います。
5、コンサルティング契約には、この方式により、管理組合に過度な負荷が掛からない運用がなされるかどうかをチェックし、定着させるために、切替後1年間の顧問業務が付いています。
結果、組合側の負担は、変わらず、品質が確保され、価格は劇的に下がると思いますね。
ただし、例えばエレベーターの保守点検を例に取れば、点検のお知らせをマンションの掲示版に貼るのは、エレベーター保守会社がやっているし、その後の報告書作成も、管理会社の力は全く借りませんし、補修の提案は、エレベーター会社発信で、管理会社は、その内容を特段、吟味せずに取り次ぐだけなので、直接契約に替えても、自社の下請けに位置付けても、管理会社の仕事は、従来と大きく変わりません。
逆に、支払いは、いちいち、管理組合の支払い承諾を受けて、行わないといけないし、毎年の総会時に契約更新議案を上げないといけない(予算審議一本でやっても良いですが)けれども、それを事務管理業務の増額に反映しても、理論的には大したボリュームもなく、結局、他のマンションと違うオペレーショを行うことの面倒さを考えると、自社の下請けに入れておいた方が、楽なようです。
と言うことで、これまでの管理委託業務の見直しコンサルティングでは、総合管理会社の入札+専門事業者の入札を併用し、管理組合との直接契約もあるし、管理会社の従来の下請け業者との入れ替えもあり…と言う手法を取ってきましたが、結局、管理会社の下請けに収まるケースが圧倒的に多かったですね。
今回は、総合管理会社が、従来の下請け会社への配慮もあったようで、直接契約を推奨されたのですが、コストダウンを品質ダウンにせず、かつ組合の負担を増やさないと言うのが、コンサルタントの重要な役目だと思っています。
もちろん、管理組合側も、直接契約だという認識を持ってもらい、管理会社を介在したとしても、最終の調整は、自分たちとその専門業者で行うのだ!と言う認識を持っていただくことが必要ですし、その認識を持たせる啓発活動を行うのも、コンサルタントの役目だと思います。
いつも、「軸」は、「マンションに住む人が幸せになること」。
この目的のために何をすればよいか?を徹底的に考えたコンサルティングを行えば、良い結果が生まれると思います。
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