私が見てきた「管理委託契約書」を見ると、マンションの日常的な修繕工事に関する契約条文は、ほとんどが、次の通りです。
「乙は、甲が本マンションの維持又は修繕(大規模修繕をのぞく修繕又は保守点検等)を外注により乙以外の業者に行わせる場合の見積書の受理、発注補助、実施の確認を行う。但し甲の直接発注分は除く」
これは、平成21年に国交省が出した「標準管理委託契約書」に、そう書かれているからです。
「標準なんだから、いいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、この条文は、極めて管理会社に有利。
この条文を正確に読むと、管理会社は、「見積書の受理」の仕事はありますが、その工事金額を査定する仕事は、入っていません。そもそも、発注先からの紹介料を要求しているケースもあり、値引きさせる=自社の利益が減るため、そのモチベーションが働きにくい。
ある管理会社に聴いたら、この不明朗なマージンを「そういう商習慣は、普通」だと言います。
あるいは、下請け業者の見積に、自社のマージンを乗せて、「元請」として、受注するケースも多く、組合からの値引き要請も、はじめから織り込み済み。
管理会社が、「他のマンションでも、このくらいの値段でした」と言えば、通ってしまいます。
つまり、管理組合に査定能力や価格交渉能力がないと、高い買い物になるということです。
それに対抗すべく、組合が直接見積もりを取って、比較すれば?と言う手段もありますが、マンションの建築物や設備について、どこに頼めばいいのでしょう?あるいは、発注仕様書は?となると、簡単には行きません。
「ネットで業者を探して、現地を見てもらい、見積もってもらえばいい」と言う方法もありますが、それでは、管理会社が出した見積もりの内容と同じ品質かどうかわかりません。
品質レベルがあっていない見積もりを比較して、安い方を選べば、結局、「安かろう、悪かろう」になり、後で後悔する恐れもあります。
以上のことを全部承知の上で、それでも、「持ち回りの理事では判断がつかないし、そこまでの労力をかけられないので、高いと分かっていても、管理会社に依頼する」と言う選択も、もちろん、あります。
ただし、「チリと積もれば山となる」
当社の顧問先マンションでは、こうした日常修繕工事へのセカンドオピニオンや査定を行うのですが、400万円以上の屋上全面防水工事の提案が、一部防水工事+清掃の25万円で済んだとか、230万円のテレビ共聴設備の撤去が、全く同じ内容で、88万円で済んだとか、そういう例は、たくさんあります。
こういう例を見ていると、管理組合の財政を健全に保つには、管理委託契約内容と管理会社との関係を正しく把握して、過剰なコストが発生しないよう、組合側に「お目付け役」がいないと難しいでしょうね。
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