分譲マンションでは、区分所有法により、原則として「組合を作らなければならない」のですが、その組合業務は、お金のこと・設備のこと・近隣関係など多岐にわたっていることから、専門の管理会社に業務を委託するケースがほとんどです。
ところが、新築マンションでは、販売時には、もう管理会社も管理業務内容も委託費も決まっていますが、その中身をよく読んでいる人は、ほとんどいません。
自分の部屋の話ではなく、マンション共用部の話がほとんどなので、関心が低いのですね。
しかし、自分が役員になって、管理会社との付き合いが頻繁になると、疑問が出てくるケースは非常に多いのです。
例えば、管理費滞納問題。
数十万円の高額滞納者がいて、支払いが進まないと「管理会社何をやっているんだ!」「ちゃんとやらないから、こんなことになるんだ」「いい加減な業務をした管理会社が弁済しろ」などと言う発言も出ます。
しかし、多くの管理委託契約は、次のような契約条項になっています。
一 毎月、甲の組合員の管理費等の滞納状況を、甲に報告する。
二 甲の組合員が管理費等を滞納したときは、最初の支払期限から起算して6月の間、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行う。
三 二の方法により督促しても甲の組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは、乙はその業務を終了する。
これ、ちゃんと読むと、
「どんな督促業務をいつ行うのかは、管理会社任せで、6カ月の間、一度でも、電話で督促を行えば、管理会社の業務不履行にはならない」と言うことです。
日本一ゆるい督促業務と言えるのでは?と思います。
そして、6か月過ぎたら、あとは管理組合(住民)でやってね!と言う条文。
もちろん、現実的に、そんなユルイ督促業務を行っている管理会社はなく、毎月のように督促業務は行いますが、そもそも、こういう契約になっていることを承知せずに、「滞納が解消されないのは、管理会社の怠慢だ」とクレームを言うのは、見当はずれ。
管理会社は、「督促する義務」はありますが、「滞納管理費を回収する義務」はないのです。
管理会社は、ビジネスとして管理委託業務を行っているのですから、その基本は、「委託契約」。
他の面も含めて、この契約内容が非常に曖昧なので、管理会社に都合の良い管理業務がなされても、仕方ない訳ですね。
当社の管理見直しコンサルティングでは、管理会社が変わっても、担当者が変わっても、管理品質が上位で保たれるよう、きめ細かく、かつメリハリのある「管理委託業務仕様書」を作成します。
これを作るだけで、3~6か月かかります。
その後、管理会社の入札を行うのですが、「高品質な管理業務仕様」に変えても、従来の委託費よりも30~40%程度コストが下がります。
それは競争原理が働くこと、独自の手法で品質を下げないままでコスト削減交渉を行うこと、管理会社側も、きめ細かな仕様なので、受託してからの業務が見えるので、価格設定しやすいこと…などが理由として挙げられます。
そして、新しい管理業務体制になった後も、1年間、適正に運用されているか?その品質が適正であったかを監査もします。その結果、適正ではなかったと判定されれば、仕様を変えます。
こうした一連のコンサルティングを通じて、管理組合側も意識が高くなり、管理組合・管理会社・顧問のトライアングルで、より良いマンションライフを実現するのが、当社の使命です。
当社が登場すると、最初、管理会社には、「悪徳マンション管理士が、管理会社のあら探しをして、利益を奪う」と警戒されることもありますが、やがては、当社の思想を理解いただき、協力的になっていただけるようになります。
ただ、どこまで管理業務仕様をきめ細かくしても、下記のような区分が曖昧な業務は残ります。
1、管理委託契約の一環として、会社に依頼しても良い業務
2、管理会社に依頼すればやってくれるが、別途有償になる業務
①管理会社に依頼するのが最適な業務
②管理会社以外に依頼するのが最適な業務
3、管理会社ではやってくれない業務
①管理組合自らできる業務
②管理組合ではできない業務→管理会社以外に依頼するしかできない業務
丁度今、管理見直しコンサルティグを経て、顧問をしているマンションで、機械式駐車場の廃止問題があり、この区分の仕分けがなかなか微妙。
機械式駐車場の廃止そのものは、総会の特別決議が必要で、廃止に伴い、敷地外駐車場へ移動せざるを得ない住民がいるため、その方々の協力を得るとか、「機械式駐車場ならば使いたくないけど、平面駐車場になれば、使いたいから、抽選すべし」という他の住民の意見はないか?など、組合の総意をまとめて行く業務は、管理会社の「組合運営補助」に当たると思われます。
しかし、そのために、敷地外駐車場を確保すると言う業務は、どうでしょうか?
「情報を集める」「組合の意向を伝える」と言う範囲ならば、「対外組織と(から)の連絡業務」と言う委託項目に基づき、依頼できそうですが、その延長線上の交渉業務や契約業務はどうでしょうか?
更には、賃貸借とは限らず、土地を買ってしまうという選択もあり、そうなると、組合を法人化するという話も出てきます。
交渉相手が、直接地主なのか、不動産会社なのかにより、業務負荷も変わりますが、いずれにしても、管理委託契約では、管理会社の補助業務は、問題が起きる都度、判断することになります。
今回、管理会社に、どこまでやってくれるのか?を尋ねたのですが、なかなか返事がない。。。
管理会社は、「問題が起きた時にどうするか?」と言うノウハウはありますが、「未来にむけた課題を整理し、解決していく」と言う力を期待するのは、なかなか難しいようです。
2024年10月23日 |
|
2024年9月26日 |
|
2024年8月19日 |
|
2024年8月5日 |
|
2024年5月25日 |
|
2024年5月25日 |
|
2024年5月24日 |
|
2024年4月16日 |
|
2024年3月13日 |
|
2024年2月2日 |
|
2023年12月18日 |
|
2023年12月18日 |
|
2023年12月18日 |
|
2023年8月14日 |
|
2023年8月11日 |