大規模修繕工事コンサルティングの業務で注目されるのは、工事仕様書を決めたり、業者を決定したり、コストダウンを図ったりすることですが、案外見落としがちなのは、「工事契約書」のチェック。
今、まさに、岐阜市内のマンションの工事で、その業務をしています。
業者側から「これが、他でも使っている標準的なものですから」と言われて、住民側がチェックするのは、かなり難しいでしょう。
仮に、普段からビジネスで法律を扱っているような仕事をする人でも。「建設業」特有の世界があって、相当に戸惑うと思います。
弁護士でも、「建設業」や「不動産業」を得意とする人、そうでない人がいますからね。
国もそれは認識していて、国土交通省が、「建設工標準請負契約約款」なるものを定め、かつ、時代に合わせて、改定を繰り返しています。
その趣旨は、次の通りです。
建設工事の請負契約は、本来、その契約の当事者の合意によって成立するものですが、合意内容に不明確、不正確な点がある場合、その解釈規範としての民法の請負契約の規定も不十分であるため、後日の紛争の原因ともなりかねません。また、建設工事の請負契約を締結する当事者間の力関係が一方的であることにより、契約条件が一方にだけ有利に定められてしまいやすいという、いわゆる請負契約の片務性の問題が生じ、建設業の健全な発展と建設工事の施工の適正化を妨げるおそれもあります。
このため、建設業法は、法律自体に請負契約の適正化のための規定(法第3章)をおくとともに、それに加えて、中央建設業審議会(中建審)が当事者間の具体的な権利義務の内容を定める標準請負契約約款を作成し、その実施を当事者に勧告する(法第34条第2項)こととしています。
中建審は、昭和24年発足以来、標準約款に関しては、公共工事用として公共工事標準請負契約約款、民間工事用として民間建設工事標準請負契約約款(甲)及び(乙)並びに下請工事用として建設工事標準下請契約約款を作成し、実施を勧告しています。
最新では、平成22年7月の改定。
大規模修繕工事の場合は、「民間建設工事標準請負契約約款(甲)」(民間の比較的大きな工事を発注する者)が対象となるのですが、その啓蒙パンフレットには、次のようなイメージ図が書かれています。
ただし、これは、「ガイドライン」と言うべきもので、更に、この内容を受けて、民間の建築団体が、「民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款」と言うものを定めています。
国の示したひな形に、民間の実践的な知恵を付け加えたもので、多くの建設業者がこの契約書を使っているようですし、管理組合にとっても、そこまで考えられたものならば、自分たちにとって不利ではないだろう・・・と考えると思いますが、100%管理組合側のコンサルタントと言う立場からすると、「不十分」と言うのが答えです。
では、何が問題なのか?
それは次回。
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